お金を残す会社は決算前に慌てない|建築会社の社長が平時から見るべき数字

経営・資金管理

お金を残す会社は決算前に慌てない
建築会社の社長が平時から見るべき数字

はじめに

決算前になると、急に数字を気にし始める会社があります。
利益はいくらか。
税金はいくらか。
何か経費を使った方がいいのか。

でも、本当にお金を残している会社は、決算前だけ慌てて数字を見たりしません。
むしろ普段から、見るべき数字を絞って、流れで把握しています。

小さな建築会社の社長に必要なのは、会計の細かい知識を全部覚えることではありません。
まず必要なのは、会社が弱くなる前に異変に気づける数字感覚です。

今回は、建築会社の社長が平時から見るべき数字を、実務目線で整理してみます。


決算前だけ数字を見る会社は、判断がいつも後手になる

決算前にだけ数字を見る会社は、だいたい判断が遅れます。

なぜなら、その時点ではもう

  • 使ってしまった経費
  • かかってしまった固定費
  • 下がってしまった粗利
  • 遅れてしまった回収
  • ふくらんでしまった原価

が、ほぼ終わった結果として出てくるからです。

つまり決算前だけ数字を見るというのは、
経営の途中を見るのではなく、終わった後を見ている
ということでもあります。

それでは、見えても直せないことが多くなります。


社長が見るべき数字は、全部ではなく“流れが止まる数字”である

小さな建築会社の社長が、会計資料の全部を細かく理解する必要はありません。
まず見るべきなのは、会社の流れが止まりやすい数字です。

たとえば、

  • 粗利
  • 入金予定
  • 未回収
  • 支払い予定
  • 固定費
  • 現預金残高
  • 工事ごとの原価ブレ

このあたりです。

数字に弱い会社ほど、資料の量に負けます。
でも、会社が苦しくなるきっかけは、実はそれほど多くありません。

だからこそ、
「どの数字が崩れると会社が苦しくなるのか」
を先に押さえることが大切です。


平時から見たいのは、売上より粗利である

売上が増えていても安心できない会社はたくさんあります。
むしろ、売上が増えて忙しくなっているのに、お金が残らない会社も少なくありません。

その原因のひとつが、粗利を見ていないことです。

建築会社は、同じ売上でも

  • 材料費の出方
  • 外注の比率
  • 値引きの有無
  • 追加工事の取り方
  • 手直しの発生

によって中身がかなり変わります。

だから、売上だけを見て
「今月は忙しかったから大丈夫」
と考えるのは危険です。

平時から見るべきなのは、
どれだけ売れたかより、
どれだけ粗利が残ったかです。


“入金”と“支払い”は、利益と別で見る必要がある

建築会社は、利益が出ていても資金繰りが楽とは限りません。
ここで大事なのが、入金と支払いを利益と別で見ることです。

たとえば、

  • 工事が終わったのに請求が遅れている
  • 請求したのに入金が先になる
  • 外注費や材料費だけ先に出ていく
  • 入金予定がずれて来月に響く

こうしたことは、現場が多い会社ほど起こりやすいです。

だから社長は、試算表の利益だけではなく、

  • 今月の入金予定
  • 今月の支払い予定
  • 大きい支出の予定
  • 回収遅れの有無

を平時から見ておく必要があります。

お金が残る会社は、利益を見て安心するのではなく、
入金と支払いの差を見る習慣を持っています。


固定費は“毎月勝手に減っていくお金”として見るべきである

固定費は、忙しい時ほど見落としやすいです。

  • 人件費
  • 車両費
  • 保険
  • 通信費
  • 事務所費
  • 借入返済
  • サブスク費用
  • 広告費

こうしたお金は、仕事が増えても減らなくても、毎月出ていきます。

しかも固定費は、一度増やすと戻しにくいです。
だから社長は、売上や利益より前に、
毎月必ず出ていく固定費の重さ
を見ておいた方がいいです。

お金を残す会社は、固定費を
「払えているから大丈夫」
ではなく、
「これが本当に今の会社の大きさに合っているか」
で見ています。


数字を見る目的は、“異常に早く気づくこと”である

数字を見るのが苦手な社長ほど、
「資料を見ること」が目的になってしまいがちです。

でも本来の目的は、そこではありません。

数字を見る目的は、
会社の異常に早く気づくことです。

  • 粗利が落ちている
  • 回収が遅れている
  • 原価が上がっている
  • 固定費が重くなっている
  • 利益のわりに残高が増えない

こうした変化に早く気づければ、対策できます。
逆に、決算前にまとめて気づいても、できることは限られます。

平時から数字を見る会社は、数字を使って会社を責めているのではなく、
崩れる前に守るために見ています。


社長が平時から押さえたい数字は、多くない

最初から全部見ようとすると、続きません。
だからこそ、最初は絞った方がいいです。

小さな建築会社の社長なら、まずはこのあたりで十分です。

  • 月ごとの粗利
  • 現預金残高
  • 入金予定
  • 支払い予定
  • 未回収の有無
  • 固定費の総額
  • 利益率が崩れた現場の有無

この程度でも、見えてくるものはかなりあります。

大事なのは、詳しすぎる分析ではありません。
同じ数字を、毎月、同じ感覚で見ることです。
それだけでも、経営判断はかなり安定してきます。


まとめ

お金を残す会社は、決算前だけ慌てて数字を見ることはありません。
普段から、会社の流れが止まりやすい数字を見ています。

建築会社の社長が平時から見るべきなのは、

  • 売上より粗利
  • 利益だけでなく入金と支払い
  • 固定費の重さ
  • 現預金残高
  • 未回収や原価ブレ

といった、会社の流れを止める前兆が出る数字です。

数字を見るのは、難しい会計を覚えるためではありません。
会社が苦しくなる前に、早く気づくためです。

決算前だけ慌てる会社ではなく、
普段から静かに数字を見ている会社の方が、結果的にお金を残しやすくなります。

これからの建築会社に必要なのは、
会計知識の多さより、
平時から数字を見る習慣だと思います。

※こちらの記事も参考までにお読みください。

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