リフォーム工事の手直し・やり直し・再訪問が利益を消していく理由|小さな建築会社の見えにくい原価管理

利益改善・原価管理

🏠リフォーム工事の手直し・やり直し・再訪問が利益を消していく理由
小さな建築会社の見えにくい原価管理

はじめに

「工事は終わったはずなのに、また現場へ行かなければならない。」

建築やリフォームの仕事をしていると、こうしたことがあります。

工事が終わったあとに建具の調整を頼まれたり、仕上がりの一部を手直ししたり、設備の使い方をもう一度説明するために訪問したり。

お客様からすれば、ほんの少しのことかもしれません。

しかし、元請け会社にとっては、その「ほんの少し」にも時間と費用がかかっています。

私は建築・リフォーム業界で35年以上、営業、現場調査、積算見積、施工管理、会社経営に携わってきました。

その中で感じているのは、小さな手直しや再訪問ほど、工事原価として記録されずに終わりやすいということです。

材料費や外注費は請求書が届くため、比較的把握しやすいものです。

ところが、自分が現場へ行った時間、移動に使った時間、職人さんとの再調整にかかった手間は、数字として残らないことがあります。

今回は、リフォーム工事で発生する手直し・やり直し・再訪問について、原価管理の視点から考えてみたいと思います。


手直しや再訪問は、請求しなくても会社の負担になる

最初に整理しておきたいことがあります。

それは、お客様に請求しないことと、費用がかかっていないことは違うということです。

例えば、工事完了後に建具の調整を依頼されたとします。

調整そのものは15分ほどで終わるかもしれません。

しかし、実際にはどうでしょうか。

  • お客様と訪問日時を調整する
  • 必要な道具を準備する
  • 車で現場へ向かう
  • 現場で状態を確認する
  • 調整作業を行う
  • お客様に確認していただく
  • 会社へ戻る

こうした一連の動きが必要になります。

作業時間だけを見れば15分でも、会社として使った時間はそれ以上です。

一人社長の場合、自分が動くため、外部への支払いが発生しないこともあります。

しかし、その時間は本来、別の現場管理や見積作成、営業活動に使えた時間です。

自分の時間を無料だと考えてしまうと、会社の本当の負担が見えなくなります。


小さな手直しほど、実際にかかる時間を見落としやすい

リフォーム工事の手直しには、さまざまなものがあります。

例えば、

  • 建具の開閉調整
  • コーキングの部分補修
  • クロスの小さな補修
  • 設備器具の再調整
  • 仕上がりの確認
  • 使用方法の再説明

どれも大がかりな工事とは限りません。

ただし、現場へ行く以上、移動時間や準備時間は必ず発生します。

ここで、説明用の計算例を考えてみます。

30分の手直しに、実際はいくらかかるのか

仮に、次の条件だったとします。

項目 時間・費用
往復の移動時間 60分
現場での確認・作業 30分
準備・連絡・片付け 30分
合計拘束時間 120分
管理上の時間単価 3,000円
車両・燃料など 1,000円
管理上の負担額 7,000円

※金額と時間は説明用の仮定です。時間単価は会社内部で負担を把握するための設定であり、実際の追加支出額とは異なります。

作業そのものは30分でも、会社として2時間を使っている計算になります。

時間の負担を6,000円、車両や燃料などを1,000円と考えれば、管理上は合計7,000円です。

これが月に5回あれば35,000円、年間では420,000円相当の負担になります。

もちろん、すべての手直しに同じ時間や費用がかかるわけではありません。

大切なのは、作業時間だけで判断せず、会社としてどれだけ時間を使ったのかを見ることです。


やり直し工事は、材料費だけでなく段取りまで失わせる

手直しとやり直しは、似ているようで負担が異なります。

小さな調整で済む場合もあれば、一度施工した部分を撤去して、もう一度施工しなければならない場合もあります。

例えば、内装工事で仕上がりに問題が見つかった場合です。

補修で対応できればよいのですが、状況によっては材料を張り替える必要があります。

その場合、

  • 既存仕上げの撤去
  • 新しい材料の手配
  • 職人さんの日程調整
  • 再施工
  • 廃材の処分
  • お客様への説明と確認

といった作業が発生します。

最初の工事にかかった費用は、すでに発生しています。

そこへ再施工の費用が加わるため、予定していた利益が減ってしまいます。

さらに、職人さんの予定がすぐに合わなければ、完工や引き渡しにも影響することがあります。

やり直しの負担は、材料をもう一度買う費用だけではありません。

工程を組み直し、関係者を調整する手間まで含めて考える必要があります。


手直しの原因は、工事が始まる前にあることも多い

私が現場管理で大切だと考えているのは、手直しが発生したあとだけでなく、なぜ発生したのかを確認することです。

例えば、工事完了後にお客様から、

「思っていた仕上がりと違う。」

と言われたとします。

この場合、施工そのものに問題があったとは限りません。

工事前の説明が不足していたのかもしれません。

図面や仕様書で確認した内容が、職人さんまで正確に伝わっていなかった可能性もあります。

リフォーム工事では、次のようなことが原因になる場合があります。

  • 現場調査で既存の状態を十分に確認していなかった
  • 工事範囲についてお客様との認識が違っていた
  • 材料や設備の仕様を明確にしていなかった
  • 職人さんへの施工指示が曖昧だった
  • ほかの工種との取り合いを確認していなかった
  • 工事途中の確認を省略していた

つまり、手直しを減らすには、完工後の対応だけを改善しても十分ではありません。

現場調査、見積、打ち合わせ、施工指示、工事中の確認まで、一連の流れを見直す必要があります。


リフォーム工事では、職人さんとの情報共有が特に重要になる

新築工事と違い、リフォーム工事では既存の建物に合わせて施工する場面が多くなります。

解体して初めて分かることもありますし、図面どおりに施工できない場合もあります。

例えば、設備交換に伴う配管工事です。

現場調査の段階では問題がないように見えても、既存の配管位置や下地の状態によって施工方法を変更する必要が出ることがあります。

その変更内容を、関係する職人さんに正確に伝えなければ、別の工種で手戻りが発生する可能性があります。

こうした場合、元請けの現場管理者には、施工内容を確認して関係者へ伝える役割があります。

私が重要だと考えているのは、「職人さんに任せたから大丈夫」で終わらせないことです。

専門的な施工は職人さんに任せても、工事全体の取り合いやお客様との約束については、元請け側が把握しておく必要があります。

現場での小さな確認が、後日の大きなやり直しを防ぐこともあります。


再訪問には、原因の違うものがある

ここで、もう一つ考えておきたいことがあります。

それは、すべての再訪問を同じように扱わないことです。

再訪問には、例えば次のような違いがあります。

再訪問の理由 対応の考え方
施工不良や不具合の確認 原因と責任範囲を確認し、必要な是正対応を行う
工事内容の説明不足 説明方法や引き渡し時の確認を見直す
お客様の使い方への不安 使用方法を丁寧に説明する
契約範囲外の追加作業 内容を確認し、必要に応じて見積を提示する
定期的な点検・アフター対応 契約や保証、会社の対応方針に沿って実施する

大切なのは、再訪問そのものを悪いことだと考えないことです。

工事を請け負った以上、必要なアフター対応はあります。

施工上の不具合があれば、適切に対応する責任もあります。

一方で、当初の契約に含まれていない新たな工事まで、すべて無料で引き受ける必要があるとは限りません。

お客様との信頼関係を大切にしながら、対応する内容と費用負担を明確にすることが必要です。


完工時の確認を丁寧にすることが、再訪問の予防につながる

手直しや再訪問を減らすためには、工事完了時の確認も重要です。

例えば、設備交換工事であれば、

  • 器具が正常に作動するか
  • 水漏れなどの不具合がないか
  • 施工箇所の仕上がりに問題がないか
  • お客様に使用方法を説明したか
  • 保証や今後の連絡先を案内したか

といった確認が必要です。

建具工事であれば、開閉や施錠の状態を確認することも大切です。

内装工事であれば、仕上がりや清掃状況を確認します。

工事の種類によって確認内容は異なりますが、共通しているのは、お客様への引き渡し前に、施工した側が確認することです。

そして、できればお客様にも一緒に確認していただく。

その場で気になる点が見つかれば、内容を整理して対応できます。

もちろん、完工時に確認したからといって、その後の不具合がすべてなくなるわけではありません。

しかし、説明不足や確認漏れによる再訪問を減らすことにはつながります。


再訪問の記録を残すだけでも、原価管理は変わる

小さな会社では、手直しのたびに複雑な管理表を作る必要はないと思います。

まずは簡単な記録から始めれば十分です。

例えば、次のような項目を残します。

記録する項目 内容
工事名 どの現場の対応か
対応日 いつ訪問したか
発生内容 何を確認・手直ししたか
原因 施工・説明・調整・追加依頼など
対応時間 移動を含めて何時間使ったか
追加費用 材料費・外注費など
次回の改善点 同じことを防ぐために何を変えるか

これだけでも、どのような工事で再訪問が多いのかが分かってきます。

例えば、建具工事で調整の再訪問が続くなら、完工時の確認方法を見直す。

設備交換後に使用方法の問い合わせが多いなら、引き渡し時の説明を改善する。

内装工事で仕上がりに関する指摘が多いなら、施工途中の確認方法を変える。

こうした改善を重ねることが、次の現場の原価を守ることにつながります。


一人社長ほど、自分の時間を原価管理から外してはいけない

一人社長の場合、営業、見積、現場管理、お客様対応を一人で担当することがあります。

そのため、自分が現場へ行って手直しを済ませれば、会社として大きな支払いは発生しないこともあります。

しかし、ここに落とし穴があります。

自分が半日を使って再訪問した場合、その半日は別の仕事に使えません。

見積を作る時間も減りますし、新しい現場を確認する時間も減ります。

実際に支払った経費と、自分が使った時間の負担は区別して考える必要がありますが、どちらも経営判断には欠かせません。

自分が動いたから無料なのではなく、自分の時間にも価値がある。

一人社長だからこそ、この考え方を持っておきたいものです。


手直しを減らすことと、お客様への対応を減らすことは違う

ここは誤解してほしくないところです。

原価管理を徹底するからといって、手直しを断ったり、お客様からの問い合わせを避けたりすることが正しいわけではありません。

必要な修理や是正対応は、責任を持って行うべきです。

また、工事完了後の丁寧な対応が、お客様の安心や次の相談につながることもあります。

ただし、同じ説明不足や施工上の見落としで何度も訪問しているのであれば、会社として改善する必要があります。

お客様への対応を減らすのではなく、お客様に余計な不安や不便をかける原因を減らすことが大切です。

その結果として、手直しや再訪問が減り、会社の利益も守られる。

私は、それが現場管理と原価管理のあるべき関係だと考えています。


利益を残す会社は、手直しのあとに原因を振り返る

工事が終わり、手直しも完了すれば、次の現場へ向かいたくなるものです。

しかし、そこで一度だけ振り返ってみてください。

「なぜ今回の手直しが必要になったのか。」

原因が現場調査にあったのか、見積時の確認にあったのか、施工指示にあったのか。

それとも、完工時の説明が不足していたのか。

原因によって、次の現場で改善すべきことは変わります。

手直しや再訪問を記録する目的は、誰かを責めることではありません。

同じ失敗を繰り返さず、次の現場を良くすることです。

この積み重ねが、見積の精度、現場の段取り、そして利益の残り方を少しずつ変えていきます。


まとめ|見えない原価を見えるようにすることが大切

リフォーム工事の手直し・やり直し・再訪問は、一件ごとに見れば小さな負担かもしれません。

しかし、積み重なれば会社の利益に影響します。

特に小さな建築会社では、材料費や外注費だけでなく、移動時間、再調整、現場管理者自身の時間も意識しておく必要があります。

そのために大切なのは、

  • 手直しの原因を確認する
  • 再訪問にかかった時間を記録する
  • 追加費用と社内の時間負担を分けて把握する
  • 工事前の確認や施工指示を見直す
  • 完工時の確認と説明を丁寧にする
  • 次の工事に改善点を生かす

という習慣です。

原価管理は、請求書の数字を集めることだけではありません。

現場で起きたことを振り返り、次の仕事に生かすことも大切な原価管理です。

手直しを減らすことは、お客様への責任を減らすことではありません。

より確かな仕事を提供しながら、会社を長く続けるための改善です。


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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

建築やリフォームの仕事では、小さな確認や丁寧な説明が、後日の手直しや再訪問を防ぐことにつながります。

この記事が、日々の現場管理や原価の見方を振り返るきっかけになれば幸いです。

これからも、現場で学んできた経験をもとに、小さな建築会社や一人親方の仕事に役立つ実務の考え方をお伝えしていきます。

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