黒字のつもりでも苦しい会社がある理由|建築会社は利益とお金がズレやすい

利益改善・経営実務

黒字のつもりでも苦しい会社がある理由
建築会社は利益とお金がズレやすい

はじめに

建築やリフォームの仕事では、「一応黒字のはずなのに、なぜかお金が苦しい」という状態が起こることがあります。
現場は動いている。売上も立っている。帳面の上では利益が出ている。
それなのに、月末になると支払いが気になり、通帳残高を見て落ち着かない。
こうした感覚を持つ会社は少なくありません。

前回の記事では、原価管理が曖昧な会社ほど粗利が読めず、利益がどこで消えているか見えにくくなる話を整理しました。
今回はその次の段階として、「利益が出ているつもりでも、なぜお金が苦しくなるのか」を見ていきます。

ここで大事なのは、利益とお金は同じではないということです。
この感覚が弱いと、黒字のつもりで動いているのに、資金繰りだけがどんどん苦しくなることがあります。
特に建築会社は、工事の流れそのものが利益と現金をズラしやすい仕事です。
この記事では、そのズレがどこで起きるのかを、実務の流れに沿って整理します。

利益が出ていることと、お金があることは同じではない

まず最初に押さえておきたいのは、利益とお金は同じではないということです。

利益は、売上から原価や経費を引いた結果として見えるものです。
一方でお金は、実際に今、会社の手元にある現金や預金です。

この2つは、同じように見えてズレます。
帳面の上では売上になっていても、実際にはまだ入金されていないことがあります。
逆に、支払いのほうは先に出ていくことがあります。

つまり、利益が出ているように見えても、手元にお金がなければ会社は苦しくなります。
ここを分けて見られない会社は、「黒字なのに苦しい」という状態に入りやすいです。

特に小さな建築会社では、仕事が終わる前にも材料費や外注費が動きます。
現場が増えるほど、先に出ていくお金も増えます。
だからこそ、利益の話だけで安心してはいけません。

建築会社は、仕事の流れそのものが利益とお金をズラしやすい

建築やリフォームの仕事は、最初から最後まで現金が一直線に動く仕事ではありません。
むしろ、ズレやすい要素がいくつもあります。

たとえば、
・契約はしたが着工はまだ先
・着工前に材料を発注する
・工事中に外注費が発生する
・完工後に請求する
・請求しても入金は翌月以降
こうした流れは珍しくありません。

この時点で、売上の感覚とお金の動きには差が出ています。
会社としては「この現場は利益が出る予定だ」と思っていても、その利益が実際に現金として残るのはもっと後です。
それまでの間に、別の現場の支払い、経費、固定費が重なると、手元資金は苦しくなりやすくなります。

つまり、建築会社は利益の問題だけでなく、時間差の問題を抱えやすい業種です。
このズレを意識していないと、黒字のつもりでも平気で苦しくなります。
ここは、仕組みを変える必要があります。

支払いは先に来るのに、入金は後から来る

資金が苦しくなる一番分かりやすい理由の一つが、支払いと入金の順番です。

建築の現場では、
・材料費
・外注費
・交通費
・副資材
・現場の細かな対応費用
などが、工事の途中や完工前から出ていきます。

一方で、お客様からの入金は、
・完工後
・請求書発行後
・月末締め翌月払い
など、あとになることが多いです。

この差が大きいと、利益が出る仕事でも途中は苦しくなります。
しかも現場が1件だけならまだしも、2件、3件と重なると、先に出ていくお金の量が一気に増えます。
すると、帳面の上では順調でも、通帳の中は落ち着かないという状態になります。

この感覚を持っていない会社は、現場が増えたことをそのまま安心材料にしてしまいがちです。
ですが実際には、現場が増えるほど先払いも増えるので、むしろ資金は詰まりやすくなります。

請求の遅れや回収の弱さが、黒字を苦しさに変える

利益とお金のズレは、工事の性質だけで起きるわけではありません。
会社側の動き方でも大きく変わります。

特に多いのが、請求の遅れです。
工事は終わっているのに請求書が遅い。
確認待ちのまま止まっている。
社長が忙しくて後回しになる。
こうしたことが重なると、本来入ってくるはずのお金が手元に来るまでの時間が伸びていきます。

さらに、回収条件が弱い会社はもっと苦しくなります。
お客様の都合に合わせすぎる。
入金予定をはっきり確認しない。
一部未回収でもそのまま流してしまう。
こうした状態では、利益が出ていても、お金が会社に戻ってきません。

ここで大事なのは、「売上が立ったから安心」ではないということです。
売上が立っても、請求して、回収されて、初めてお金として使えます。
この流れが弱い会社は、黒字でも苦しい状態から抜けにくくなります。

黒字のつもりで苦しい会社は、立替の感覚が麻痺しやすい

建築会社では、立替感覚が当たり前になってしまうことがあります。
材料を先に買う。
不足分を急ぎで手配する。
予定外の細かい部材もこちらで動かす。
職人への支払いも先に走る。
こうしたことが続くと、「まあ一旦こっちで払っておこう」が積み重なります。

もちろん、現場を止めないために必要な判断もあります。
ですが、その感覚が強すぎる会社は危険です。
なぜなら、立替が積み重なると、会社の手元資金は静かに削られていくからです。

しかも怖いのは、1回ごとの金額が大きくない場合です。
少額の立替や追加対応は、その場では大きな問題に見えません。
ですが、それが現場ごとに重なれば、月単位ではかなりの負担になります。

黒字なのに苦しい会社は、この「ちょっとした立替」の重さを軽く見ていることが多いです。
利益が残るかどうかだけでなく、いつお金が出て、いつ戻るのかまで見なければ、本当の意味で楽にはなりません。

利益が出ている現場でも、会社全体のお金は苦しくなることがある

ここが小さな会社では特に大事です。
一つひとつの現場で見れば、利益が出ているように見えることがあります。
ですが、会社全体で見るとお金が苦しい。
これは珍しいことではありません。

なぜなら、会社全体では、
・今月完工した現場
・まだ入金前の現場
・先に支払いだけ出ている現場
・これから着工する現場
が同時に動いているからです。

つまり、現場ごとの利益だけ見ていても、会社全体の資金の流れは読めません。
ある現場では利益が出る予定でも、別の現場で先払いが重なっていれば、月末の資金は苦しくなります。

ここを見誤ると、「利益は出ているはずだから大丈夫」と思っているうちに、支払いのほうが先に迫ってきます。
結果として、仕事はあるのに落ち着かない、黒字のつもりでも苦しい、という状態になります。

利益が出ていてもお金が苦しくなる会社は、請求と回収の流れが弱いことも少なくありません。詳しくは、リフォーム会社は請求と回収が弱い会社ほど資金繰りが不安定になる理由|工事が終わっても安心できない会社の共通点も参考になります。

リフォーム会社は請求と回収が弱い会社ほど資金繰りが不安定になる理由|工事が終わっても安心できない会社の共通点
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利益を見ているだけでは、会社は守れない

前々回の記事で粗利の大切さを整理し、前回の記事で原価管理の曖昧さが利益を読めなくする話をしました。
ここまでで見えてくるのは、利益はもちろん大事だということです。
ですが、それだけでは会社は守れないということでもあります。

どれだけ利益が出ているように見えても、
・入金が遅い
・支払いが先に出る
・請求が弱い
・立替が多い
・資金の流れを見ていない
こうした状態なら、会社は苦しくなります。

つまり、利益の話とお金の話は、似ているようで違います。
利益を見るだけでは不十分で、現金がどう動いているかまで見ないと、会社の実態はつかめません。

ここに気づけるかどうかで、経営の見え方はかなり変わります。

建築会社が次に見るべきなのは、入金と資金の流れである

この段階まで来ると、次に大事になるのははっきりしています。
それは、入金と資金の流れです。

どの現場が、いつ請求できるのか。
入金予定はいつなのか。
支払いはどこで先に出るのか。
固定費と重なる時期はどうか。
立替が膨らんでいないか。
こうした流れが見えてくると、ようやく「黒字のつもりでも苦しい理由」が具体的に見えてきます。

ここまで見えていない会社は、苦しさの原因を売上不足だと思い込みやすいです。
ですが実際には、売上より先に、お金の回り方のほうが問題になっていることもあります。

だからこそ、これから先は資金の流れを見る感覚が必要になります。
利益が出るかどうかだけでなく、お金が回るかどうかまで見ないと、会社は安定しません。

まとめ

建築会社やリフォーム会社では、黒字のつもりでも苦しい会社が生まれやすいです。
その理由は、利益とお金が同じではないからです。

帳面の上では利益が出ていても、材料費や外注費の支払いは先に出ていきます。
請求や入金は後になり、立替や未回収が重なると、手元資金はすぐに苦しくなります。
つまり、利益の話だけでは会社の実態は見えません。

前々回の記事では粗利を見る感覚、前回の記事では原価管理の曖昧さを整理しました。
そして今回の記事では、その先にある「利益が出ていても苦しい理由」を見ました。
ここまで来ると、次に見るべきなのはさらに具体的です。
それは、請求、回収、入金、支払いの流れです。

小さな建築会社が安定していくためには、利益があるかどうかだけでは足りません。
お金がいつ出て、いつ戻るのか。
この流れまで見えるようになって初めて、会社は本当に整い始めます。
ここから先は、その資金の流れをどう見ていくかが大事になります。

また、利益とお金のズレは、入金の遅い仕事が増えるほど大きくなります。あわせて、リフォーム会社の入金の遅い仕事ばかり増える会社が苦しくなる理由|小さな建築会社の資金繰りはここで崩れるも読んでみてください。

リフォーム会社の入金の遅い仕事ばかり増える会社が苦しくなる理由|小さな建築会社の資金繰りはここで崩れる
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