税理士に任せているのに経営が見えていない会社の共通点|小さな建築会社が数字を経営に使えない理由

経営・資金管理

税理士に任せているのに経営が見えていない会社の共通点
       小さな建築会社が数字を経営に使えない理由

はじめに

建築やリフォームの仕事では、税理士に帳簿や申告を任せている会社は多いです。
それ自体は悪いことではありません。
むしろ専門家に任せるべき部分はありますし、正しく整えてもらうことは大切です。

ただ、ここで一つ大きな勘違いが起こりやすいです。
それは、税理士に任せていることと、経営が見えていることは別だということです。

帳簿は出ている。
試算表もある。
申告もしている。
それでも、利益がなぜ残らないのか分からない。
お金がなぜ苦しいのか見えない。
どんな仕事を受けるべきか判断に迷う。
こうした会社は少なくありません。

『社長が全部見ないと回らない会社が整わない理由|小さな建築会社が仕組み化できない本当の原因』では、社長の頭の中にしかない判断や流れが多い会社ほど、仕組み化しにくく整いにくいことを整理しました。
その次に必要になるのが、数字を見ているつもりで、実際には経営に使えていない状態をどう変えるかです。

この記事では、税理士に任せているのに経営が見えていない会社にはどんな共通点があるのか、小さな建築会社が数字を経営に使えない本当の理由は何かを、実務目線で整理していきます。

税理士に任せていることと、経営が見えていることは同じではない

まず最初に押さえておきたいのはここです。
税理士に任せていること自体は問題ではありません。
申告、会計処理、税務相談など、専門的な部分を任せるのは大切です。

ただし、それはあくまで税務や会計を整えることであって、経営判断を自動でしてくれることではありません。
税理士は数字をまとめてくれても、その数字をもとにどの仕事を増やすか、何を断るか、どこで利益が消えているかまでは、社長自身が見ないと経営にはつながりません。

ここを混同している会社は、
「税理士に見てもらっているから大丈夫」
という感覚になりやすいです。
でも実際には、数字が会社の中で生きていないことがあります。

つまり、税理士に任せることは大事ですが、それだけで経営が見えるわけではありません。
ここを分けて考えられるかどうかが、かなり大きな分かれ目です。

数字があるのに経営が見えていない会社は、結果だけを見ている

経営が見えていない会社には共通点があります。
それは、数字そのものがないのではなく、結果だけを見ていることです。

たとえば、
売上はいくらだったか。
利益は出たのか。
税金はどれくらいか。
こうした結果は見ています。
でも、その数字がなぜそうなったのかまでは見ていません。

・どの仕事が粗利を残したのか
・どの案件で原価が膨らんだのか
・どこで立替が重くなったのか
・固定費がどこまで利益を削っているのか
・請求や回収が遅れていないか
こうした流れを見ずに、月末や決算の数字だけ見ている会社は、数字があっても経営は見えにくいです。

経営に使える数字とは、過去の結果を眺めるためのものではありません。
今の会社の状態を読み、次の判断につなげるためのものです。
ここが抜けると、数字はあるのに使えていない状態になります。

試算表を見ても分からない会社は、数字と現場がつながっていない

試算表は出ている。
でも見方が分からない。
見ても実感がない。
こういう会社はかなり多いです。

その理由は、数字が難しいからだけではありません。
数字と現場の感覚がつながっていないからです。

たとえば試算表の中で、
売上が増えている
外注費が増えている
利益が薄い
通信費や広告費が増えている
こうしたことが出ていても、それが現場のどんな動きとつながっているかが分からないと、ただの数字で終わります。

本来は、
この売上増は入金の遅い仕事が増えた結果かもしれない。
この外注費増は段取り不足や再訪問の多さかもしれない。
この利益の薄さは値引きや追加対応の抱え込みかもしれない。
こうやって現場の出来事と数字を結びつけて見る必要があります。

小さな建築会社が数字を経営に使えないのは、会計知識が足りないからだけではありません。
現場の動きが数字の中にどう表れているかを見る習慣が弱いことが大きいのです。

税理士任せの会社は、数字を見るタイミングが遅れやすい

もう一つ大事なのは、数字を見るタイミングです。
税理士に全部任せている会社ほど、数字を見るのが遅れやすいです。

月が終わってからまとめる。
数か月たってから試算表を見る。
決算のときに初めて重さを感じる。
こうなると、数字は“振り返り”には使えても、“判断”には使いにくくなります。

経営で大事なのは、悪くなってから知ることではありません。
悪くなりそうな流れを早めに見ることです。

たとえば、
今月は外注費が重い
今月は請求が遅れている
今月は立替が増えている
今月は固定費が売上に対して重い
こうしたことを早めに見られれば、次の仕事の受け方やお金の動かし方も変えやすくなります。

数字を見るのが遅い会社は、結果として毎回後手になります。
そして後手になるほど、社長の判断は短くなり、目先の対応ばかり増えていきます。

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経営が見えていない会社は、税金だけを強く気にしやすい

税理士に任せている会社でよくあるのが、数字というとまず税金の話になることです。
もちろん税金は大事です。
ただ、税金だけを強く気にする会社は、経営そのものが見えにくくなりやすいです。

たとえば、
利益が出そうだから経費を使おう
税金を払うのが嫌だから利益を減らしたい
こうした発想ばかりになると、「会社にお金を残す」という本来の視点がぼやけます。

税務は大事です。
でも経営は、税金を減らすことだけではありません。
利益をどう残すか。
資金をどう回すか。
どんな仕事を増やすか。
どこで固定費が重くなっているか。
こうしたことを見るほうが、会社の土台にはずっと大事です。

数字が見えていない会社ほど、節税の話には反応しても、利益の残り方や資金の流れには鈍くなりやすいです。
ここが、数字を経営に使えていない状態の一つです。

数字を経営に使える会社は、細かい会計知識より先に“見る目的”がはっきりしている

数字に強い会社というと、難しい会計知識がある会社のように見えるかもしれません。
ですが、小さな建築会社で本当に大事なのはそこだけではありません。
むしろ先に必要なのは、何のために数字を見るのかがはっきりしていることです。

たとえば、
・粗利が残っているかを見る
・原価が膨らんでいないかを見る
・入金が遅れていないかを見る
・固定費が重くなりすぎていないかを見る
・今の仕事の受け方でお金が残るかを見る
こうした目的があると、数字は急に現場に近づきます。

逆に、目的がないまま試算表だけ見ても、「よく分からない」で終わりやすいです。
数字を経営に使える会社は、数字を勉強のために見ているのではありません。
次の判断のために見ているのです。

小さな建築会社が最初に見たい数字は、全部ではなく流れが止まる数字

ここでも全部を完璧に見る必要はありません。
小さな会社ほど、最初は見るべき数字を絞ったほうが続きます。

特に見たいのは、会社の流れが止まりやすい数字です。

・粗利が薄くなっていないか
・外注費が重くなっていないか
・請求が遅れていないか
・未回収がないか
・固定費が売上に対して重すぎないか
・立替が膨らんでいないか
こうした数字は、現場の実務とそのままつながっています。

逆に、全部を一気に理解しようとすると、難しく感じて止まりやすいです。
数字を経営に使う第一歩は、会社が苦しくなる原因と直結する数字から見ることです。

ここが見えてくると、税理士から出てくる資料も、ただの紙ではなく判断材料として見やすくなります。

税理士は大事だが、社長の代わりにはならない

ここは誤解しやすいので、はっきりしておいたほうがいいです。
税理士は大事です。
会計や税務の専門家として、会社を支えてくれる存在です。
ですが、税理士は社長の代わりではありません。

どんな仕事を受けるか。
どこで利益が消えているか。
今の固定費は重すぎないか。
請求と回収は弱くないか。
お金が残る流れになっているか。
こうしたことは、現場と経営を知っている社長自身が見ないと、本当の意味では決まりません。

税理士に任せるべきことと、社長が見なければいけないこと。
この線引きが曖昧な会社ほど、「任せているのに苦しい」状態になりやすいです。

つまり、税理士に任せることは大切ですが、経営まで丸ごと預けられるわけではありません。
数字をどう使うかは、最後は社長の役割です。

数字を経営に使えるようになると、仕事の見方まで変わる

数字が経営に使えるようになると、単に会計が分かるようになるだけではありません。
仕事の見方自体が変わります。

売上の大きい仕事でも粗利が薄ければ注意する。
入金が遅い仕事は条件まで含めて見る。
固定費に対して今の受注量が合っているか考える。
請求や回収の流れまで含めて仕事を見る。
こうした視点が入ると、受け方、断り方、進め方まで少しずつ変わっていきます。

つまり数字は、経理のためだけのものではありません。
仕事の選び方と会社の回し方を変える材料です。
ここまで来ると、数字を見ることは苦手克服ではなく、経営実務そのものになります。

数字を経営に使えない会社は、税金ばかりを気にして判断が短くなりやすいです。その点は、節税ばかり考える建築会社が苦しくなる理由|建築会社が本当に見るべきお金の考え方でも触れています。

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まとめ

税理士に任せているのに経営が見えていない会社は、数字がないのではなく、数字を結果としてしか見ていないことが多いです。
試算表はある。
帳簿もある。
でも、現場の出来事と数字がつながっていない。
見るタイミングも遅い。
税金ばかり気にして、利益や資金の流れに使えていない。
こうした状態では、数字は経営の力になりにくいです。

小さな建築会社に必要なのは、難しい会計知識を全部覚えることではありません。
まずは、粗利、原価、請求、回収、固定費、立替といった、会社が苦しくなる原因と直結する数字を、現場と結びつけて見ることです。
その数字を見て、次の仕事の受け方やお金の回し方に反映する。
そこまでできて、初めて数字が経営に使えている状態になります。

税理士は大切な存在ですが、経営判断そのものを代わってくれるわけではありません。
最後に数字をどう使うかは、社長の役割です。

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