建築・リフォーム業で独立して食べていく現実
建築・リフォームの仕事をしていると、一度は「いつか独立したい」と考えることがあると思います。
会社に縛られず、自分のやり方で仕事をして、自分の名前でお客様に選ばれる。
そういう働き方には、たしかに魅力があります。
ただ、実際に独立して食べていくとなると、きれいな話だけでは済みません。
仕事を取ることだけではなく、見積、段取り、現場、入金、クレーム、紹介、資金繰りまで、全部が自分に返ってきます。
会社員のときは見えにくかったことが、独立すると一気に現実として見えてきます。
それでも、独立して続いている人はいます。
反対に、腕はあっても続かない人もいます。
この差は、単に技術や営業力の差だけではないように思います。
私は、建築・リフォーム業で独立して食べていく現実は、仕事を取れるかどうかよりも、仕事を残せるかどうかに近いと感じています。
今回は、その現実を実務感のある形で書いてみます。
独立すれば自由になる、は半分本当で半分違う
独立に対して、自由なイメージを持つ人は多いです。
上司もいない。
社内のしがらみもない。
自分で決めて、自分で動ける。
これはたしかにその通りです。
でも実際には、独立すると自由が増える代わりに、守ってくれるものも減ります。
仕事が薄い月も自分で受け止める。
見積をミスしたらそのまま利益が減る。
段取りが崩れたら全部自分に返ってくる。
入金が遅れても、誰かが立て替えてくれるわけではありません。
つまり独立は、気楽になるというより、責任の置き場が全部自分になるということだと思います。
ここを甘く見ると、独立した直後は気持ちが上がっていても、数か月から1年くらいで現実の重さを感じやすくなります。
食べていける人は、仕事がある人ではなく、利益が残る人
独立して最初に勘違いしやすいのは、仕事さえあれば何とかなると思ってしまうことです。
でも実際には、忙しいのに苦しい人は少なくありません。
案件はある。
現場も回っている。
売上も立っている。
それでもお金が残らない。
この状態は、建築・リフォームでは本当によくあります。
独立して食べていける人は、ただ仕事を取っている人ではなく、残る仕事を取っている人です。
見積で粗利を守れている。
安く受けすぎない。
追加や手戻りで利益が飛ばないようにしている。
入金まで見ている。
そういう経営感覚がある人は、派手ではなくても続きます。
逆に、受注だけを追っていると、独立後はかなり苦しくなります。
会社員のときは受注が正義に見えたかもしれませんが、自分で食べていく段階になると、受注したあとに何が残るかのほうが重要です。
独立後に一番効いてくるのは、新規客よりOB客と紹介客
独立すると、最初はどうしても新規客を追うことになります。
知ってもらわないと始まりませんし、実績も作らないといけません。
ただ、ずっと新規だけで回し続けるのはかなりしんどいです。
毎回ゼロから信頼を作る。
毎回価格比較に入る。
毎回相見積もりの中で選ばれにいく。
この繰り返しだけでは、気持ちも時間も削られます。
そこで強いのが、13本目の記事で触れたOB客と紹介客です。
ここがある人は、独立後の景色がかなり変わります。
新規客がゼロになるわけではありませんが、全部を新規で埋めなくてよくなるからです。
OB客からまた相談が来る。
小さい仕事が次につながる。
紹介で話が入ってくる。
この流れができてくると、独立は“毎回勝負する働き方”から“積み上げが効く働き方”に変わっていきます。
だから私は、13本目の記事のテーマは、独立するための財産になると思います。
独立してから効くというより、独立後に困らないために先に作っておく土台だからです。
うまい人が残るというより、続けられる人が残る
建築・リフォーム業では、技術がある人、話がうまい人、行動力がある人はたくさんいます。
でも、独立して長く食べていける人が、そのままその人たちと一致するとは限りません。
むしろ残っているのは、
無理な仕事を抱え込みすぎない人
利益を軽く見ない人
約束を雑にしない人
仕事が薄い時期でも崩れすぎない人
こういう“続けられる人”であることが多いです。
独立すると、能力だけでなく、波への耐性が問われます。
忙しいときに崩れないことも大事ですが、暇なときに焦って安売りしすぎないことも同じくらい大事です。
仕事の波、売上の波、気持ちの波。
これに振り回されすぎると、腕があっても経営は安定しません。
独立して食べていく現実は、才能勝負というより、崩れずに積み上げられるかどうかの勝負に近い気がします。
断る力がないと、忙しいのに苦しくなる
独立すると、最初のうちは仕事を断るのが怖いです。
次があるか分からない。
せっかくの話を逃したくない。
そう思うのは自然です。
でも、何でも受けるようになると、だんだん苦しくなります。
利益が薄い。
段取りが悪い。
相性が悪い。
遠い。
手離れが悪い。
こういう仕事まで抱え込むと、時間も気力も削られます。
しかも、一人でやる規模ならなおさらです。
ひとつの判断ミスが、そのまま1週間、1か月の重さになることもあります。
だから独立して続いている人ほど、実は受ける力だけでなく、受けない判断も持っています。
独立は、仕事を増やすことだけではなく、
何をやって、何をやらないかを決めることでもあります。
ここが曖昧だと、忙しいのに残らない状態に入りやすいです。
一人で食べていくなら、現場・見積・回収まで全部が仕事になる
会社員のときは、営業、見積、施工、経理、集金がある程度分かれていることもあります。
でも独立すると、その境目がほとんどなくなります。
現場だけやっていればいいわけではない。
営業だけ強ければいいわけでもない。
見積を作って、段取りして、工事して、確認して、請求して、入金されて、やっとひと区切りです。
ここで意外と重いのが、回収まで見届ける感覚です。
工事が終わると気持ちとしては一区切りつきますが、経営としては入金されるまで終わっていません。
この感覚が弱いと、独立後は数字が思った以上に苦しくなりやすいです。
つまり独立して食べていくとは、現場の腕だけではなく、
仕事を最後まで閉じる力
が必要になるということだと思います。
独立してから大事になるのは、派手な営業力より信用の残し方
独立すると「営業しないと食べていけない」と思う場面は確かにあります。
それは間違っていません。
ただ、長く見たときに本当に効いてくるのは、派手な営業力というより、信用の残し方だと思います。
一回の受注で終わるのか。
また相談されるのか。
紹介につながるのか。
小さい仕事でも名前が残るのか。
ここが積み上がっていくと、独立後の営業は少しずつ楽になります。
信用が残る人は、仕事が終わったあとも忘れられにくいです。
逆に、その場では受注できても、あとに何も残らない人は、毎回またゼロからやり直しになります。
独立後にじわじわ差がつくのは、この部分だと思います。
「食べていく現実」は厳しい。でも積み上がると強い
ここまで書くと、独立は大変なことばかりに見えるかもしれません。
実際、楽ではありません。
でも、建築・リフォーム業の独立には、積み上がったときの強さもあります。
やった仕事が残る。
お客様との関係が残る。
紹介が増える。
地域で名前が少しずつ知られる。
「あの人に頼めば大丈夫」という評価が蓄積していく。
この感覚は、独立ならではだと思います。
特にOB客や紹介客の流れができてくると、仕事の取り方が変わります。
ただ追いかけるだけではなく、積み上げたものが次の仕事を連れてきてくれるようになります。
ここまで来ると、独立はしんどさだけではなく、自分の商売になってきます。
だから、独立して食べていく現実は厳しいけれど、
積み上げがちゃんと効く仕事でもある
と思います。
まとめ
建築・リフォーム業で独立して食べていく現実は、自由で気楽な働き方というより、責任も波も全部自分で引き受ける働き方です。
仕事を取るだけでは足りず、利益を残し、関係を残し、次につながる仕事を積み上げていくことが必要になります。
その中で大きいのは、やはりOB客と紹介客です。
新規だけで回すのではなく、過去の仕事が次を生む状態を作れるかどうか。
これは独立後の安定感にかなり直結します。
そういう意味でも、13本目の記事のテーマは、独立するための財産になると思います。
独立して続いている人は、特別に器用な人だけではありません。
見積を軽く見ず、利益を守り、信用を残し、波に崩れすぎず、少しずつ積み上げている人です。
派手ではないけれど、その積み重ねが一番強いのだと思います。
わたしのつぶやき
独立して食べていくというのは、仕事を取ることより、取った仕事を利益と信頼に変えて残していくことなのだと思います。
独立したということは、仕事ではありません。使える仕事を卒業し「志」を持った志事に変わっていくはずです。お客様のために自分がどうあるべきか、どういった会社にしていきたいのか常に考えて行動しなければなりません。
務めていた会社への礼儀、お客様への感謝の思い、職人さんとの大切な繋がり、を大切にすること。


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