起業して分かった、受注より大変だった“続けること”の話
起業を考えているときは、どうしても受注のことを強く意識すると思います。
仕事が取れるのか。
お客様に選んでもらえるのか。
最初の案件をどう作るのか。
売上はどれくらい立つのか。
もちろん、それは大事です。
実際、受注できなければ事業は始まりません。
ただ、起業してから強く感じたのは、
本当に大変なのは受注することだけではなかった
ということでした。
むしろ、受注よりも大変だったのは、
その仕事を続けていくこと
だったように思います。
仕事を取って終わりではない。
現場を回し、利益を残し、信頼を崩さず、次の仕事につなげ、気持ちも折らずに続けていく。
この“続けること”の重さは、起業してみないと分からない部分があると思います。
今回は、建築・リフォームで起業して分かった、受注より大変だった「続けること」の話を書いてみます。
受注はスタートであって、終わりではなかった
起業前は、仕事を取れれば一安心だと思っていました。
もちろん受注は大きな一歩ですし、最初の頃は特にうれしいものです。
でも、実際には受注した瞬間から、次の現実が始まります。
- この内容で利益は残るのか
- 現場は無理なく回せるのか
- 職人さんや協力業者との段取りは合うのか
- お客様との認識にズレはないか
- 追加や変更にどう対応するのか
- 最後まできちんと回収できるのか
起業すると、契約を取ることはゴールではなく、ただの入口だったと気づきます。
しかも、その入口を越えたあとにやることのほうが、実はずっと多いです。
会社員時代は受注の結果が評価になりやすかったとしても、起業後はその先まで全部自分の責任になります。
だから、受注できたこと以上に、その仕事をきちんと終わらせ、次につなげることのほうが重くなってくるのだと思います。
続けることが大変なのは、毎月ゼロから近い感覚があるから
起業して続けることが苦しい理由の一つは、
安心が長続きしない
ことだと思います。
一つ仕事が終わっても、それで終わりではありません。
次の予定が埋まっていなければ不安になりますし、埋まっていても利益や段取りに不安があれば気持ちは落ち着きません。
売上が立った月があっても、翌月が同じとは限らない。
受注が続いたとしても、その中身が良くなければ疲れるだけ。
忙しくても安心できるとは限らない。
つまり起業すると、毎月少しずつ、また次を作っていかなければいけません。
この感覚は、思っている以上に気力を使います。
受注だけを目標にしていたときは見えませんでしたが、続けるというのは、
仕事を取り続けることだけではなく、気持ちと経営を崩さずに回し続けること
なのだと思います。
売上より「残る仕事」がないと続かない
起業して続けるうえで痛感するのは、売上があるだけでは足りないということです。
やはり大事なのは、残る仕事です。
どれだけ売上があっても、
- 利益が薄い
- 値引きが多い
- 手直しが多い
- 工事後の対応に時間を取られる
- 無理な工程で疲弊する
- 入金が遅れる
こういう仕事ばかりだと、数字の見た目ほど事業は楽になりません。
むしろ、売上が大きいのに苦しいという状態になります。
忙しさの割にお金が残らない。
お客様対応や現場対応で追われて、次の準備ができない。
心も体も削られていく。
続けていける人は、たくさん仕事を抱える人というより、
残る仕事を積み上げられる人
なのだと思います。
受注できるかどうかも大事ですが、それ以上に、
その仕事が会社を前に進める仕事なのか、消耗させる仕事なのかを見極める力が必要になります。
続けるためには、信用を減らさないことが何より大きい
起業して分かるのは、仕事は急に増えることもありますが、信用は一気に減ることがあるということです。
一つの対応が雑だった。
返事が遅れた。
言ったことを守れなかった。
説明が足りなかった。
小さい不満を放置した。
こういう積み重ねは、その場では大きな問題にならなくても、あとでじわじわ効いてきます。
特に建築・リフォームの仕事は、一件ごとの金額も責任も重く、お客様の記憶にも残りやすいです。
だから続けるうえで本当に大事なのは、新しい仕事を増やすことだけではなく、
信用を減らさないこと
だと思います。
OB客からまた声がかかる。
紹介でつながる。
職人さんから協力してもらえる。
仕入先とも関係が続く。
こういう状態は、一気に作れるものではありません。
日々の仕事の中で、雑にしないこと、逃げないこと、誤魔化さないこと。
結局、そういう地味な積み重ねが、続ける力になるのだと思います。
受注より大変なのは、同じ品質で仕事を出し続けること
起業したばかりの頃は、まずは目の前の受注を取ることに必死になります。
でも、続ける段階に入ると、それだけでは足りません。
一件だけうまくできる人はいます。
たまたまタイミングが良くて受注できることもあります。
紹介や縁で仕事が来ることもあります。
ただ、本当に難しいのは、
それを何度も続けること
です。
毎回、お客様にちゃんと向き合う。
毎回、見積の精度を落とさない。
毎回、現場の段取りを雑にしない。
毎回、引き渡し後まで気を抜かない。
これを続けるのは簡単ではありません。
忙しくなるほど、ついどこかで手を抜きたくなる。
慣れてくるほど、確認が甘くなる。
気持ちが疲れてくるほど、対応が雑になりやすい。
でも、続いている人は、ここを崩していません。
受注の数だけでなく、仕事の質を落とさずに継続できるかどうかが、長くやっていけるかを分けるのだと思います。
続けることは、体力だけでなく判断力も削られる
起業すると、体力が必要なのはもちろんですが、それ以上に感じるのは判断の多さです。
この案件を受けるのか。
値引きに応じるのか。
この職人さんにお願いするのか。
この段取りで間に合うのか。
今、設備投資していいのか。
このお客様にどこまで踏み込んで説明するのか。
こういう判断が毎日のように続きます。
しかも、どれも間違えると利益、信頼、時間に影響します。
受注することだけなら勢いでいける場面もあります。
でも続けるには、勢いだけでは持ちません。
冷静に見て、無理なものを断る。
危ない仕事を見抜く。
先の負担を考えて今の判断をする。
こうした判断力が必要になります。
起業して分かったのは、事業を続けるというのは、
気合いよりも、判断を崩さないこと
なのかもしれないということでした。
「またお願いしたい」と言われる形を作らないと苦しくなる
新規受注だけで回し続けるのは、やはり苦しいです。
起業して長く続けていくなら、
またお願いしたい
と言ってもらえる形を作ることが必要だと思います。
これは営業トークのうまさだけでは作れません。
結局は、
- 話しやすかったか
- 不安を減らせたか
- 約束を守ったか
- 現場で信頼できたか
- 終わったあとも感じが変わらなかったか
こういうことの積み重ねです。
一回限りの受注だけを追うと、その月は売上が立つかもしれません。
でも、OB客や紹介客につながらなければ、また次もゼロから集めなければいけません。
続けるのがうまい人は、特別なことをしているというより、
仕事が終わったあとにも関係が切れない仕事の仕方
をしています。
その差は、数年経つとかなり大きくなると思います。
続けることの難しさは、孤独の中で整えなければいけないこと
会社員のときは、何かあれば上司や仲間に相談できる場面があります。
愚痴をこぼせる相手もいる。
最終判断を仰げる人もいる。
責任を分け合える部分もある。
でも起業すると、その多くが減ります。
もちろん周りに支えてくれる人がいることは大切ですが、最終的には自分で決め、自分で持つしかありません。
この孤独さは、起業してからじわじわ効いてきます。
特に、仕事があるのに不安が消えないときほど、気持ちの置き場が難しくなります。
だから続けるためには、仕事の技術だけではなく、
自分を整える力
も必要になります。
焦って値引きしない。
不安だからと何でも受けない。
疲れているときほど確認を怠らない。
抱え込みすぎる前に整理する。
こういうことができるかどうかで、続けられるかどうかは変わってくると思います。
起業して続いている人は、派手さよりも地味な安定を大事にしている
起業というと、どうしても大きな売上や勢いのある話に目が行きます。
でも、実際に長く続いている人を見ると、意外と派手さはありません。
- 無理な受注をしない
- 利益の線を守る
- 約束を守る
- 小さい相談を雑にしない
- 現場で信頼を崩さない
- 支払いと回収をきちんと見る
- 人との関係を切らない
こういう当たり前を、ずっと崩さずにやっている人が強いです。
受注は勢いで増やせることがあります。
でも、続けることは勢いではできません。
だからこそ起業してから本当に大事になるのは、目立つことよりも、崩れないことなのだと思います。
まとめ
起業してみて分かったのは、受注することよりも、続けることのほうが大変だということでした。
仕事を取るだけなら、勢いで進める場面もあります。
でも続けるには、それだけでは足りません。
利益が残る仕事を選ぶこと。
信用を減らさないこと。
同じ品質で仕事を出し続けること。
OB客や紹介客につながる関係を作ること。
判断を崩さないこと。
孤独の中でも自分を整えること。
こういうことを積み上げていかないと、事業は続きません。
受注は事業の入口ですが、継続は事業そのものです。
起業して本当に問われるのは、仕事を取れるかどうかだけではなく、
その仕事を積み上げながら、崩れずに続けていけるかどうか
なのだと思います。
わたしのつぶやき
起業して強く感じたのは、仕事を取る力よりも、仕事を崩さずに続けていく力のほうが、ずっと重いということでした。
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